制作会社に相談して、見積もりが届いた。合計の金額は分かる。でも、一つひとつの項目が何の作業なのか、よく分からない——。
「ディレクション費」「コーディング」「レスポンシブ対応」。並んでいる言葉の意味があいまいなまま、「まあ、こんなものかな」と発注してしまう方は少なくありません。
ただ、見積もりの中身をよく分からないまま進めると、あとで「それは入っていません」「それは追加になります」という話になりがちです。分からない項目は、発注する前に聞いておくのがいちばん安全です。
この記事では、見積もりで確認しておきたいことと、そのまま使える質問メールの例文を紹介します。
見積もりの質問は、失礼ではありません
「こんなことを聞いたら、素人だと思われるかも」「値切りだと思われたら嫌だな」——そう感じて、質問をためらう方がいます。
でも、制作する側から見ると、質問してもらえるのはありがたいことです。
見積もりの項目名は、制作会社ごとに書き方が違います。同じ作業でも、ある会社は「設計費」、別の会社は「ディレクション費」と書くことがあります。依頼する側が分からなくて当然です。
それに、項目について聞かれると、制作する側も「お客様はここを気にしている」と分かります。そこから「この作業は外しても大丈夫です」「ここは手持ちの写真で代用できます」といった提案につながることもあります。
質問は、値切りではなく「認識合わせ」です。遠慮しなくて大丈夫です。
見積もりで確認しておきたいこと
項目名の意味のほかに、次のようなことは書かれていないことが多いので、気になるものがあれば聞いておきましょう。
- 修正は何回まで含まれているか:デザイン・実装それぞれで何回までか
- 原稿や写真は誰が用意するか:文章作成・写真撮影が入っているか
- スマホ表示の対応が入っているか:「レスポンシブ対応」がこれに当たることが多い
- 公開作業が入っているか:サーバーへのアップや、ドメインの設定まで含むか
- 公開後の更新・保守はどうなるか:別料金か、毎月かかるか(公開後にかかるお金)
- 自分で更新するための手順書(マニュアル)があるか
- 範囲を超えたときの追加料金の考え方:どんなときに、どう決まるか
全部を聞く必要はありません。自分にとって大事なものから2〜3個で十分です。
修正回数は、特に聞いておきたい
この中でも、私が特に聞いておいてほしいと思うのが修正回数です。
これまで100件以上の制作に関わってきた中で、修正回数が決まっていないまま始まり、修正が20回ほどになったことがあります。いわゆる「修正地獄」です。
こうなると、依頼する側も制作する側も疲れてしまいます。最初に「何回まで」と分かっていれば、修正をまとめて伝えようという意識も自然と生まれます。見積もりに回数が書いていなければ、ぜひ聞いてみてください。
手順書(マニュアル)は、会社によって違う
公開後に自分でお知らせなどを更新したい場合、更新の手順書が見積もりに入っているかも確認しておくと安心です。
実は、これは制作する側も迷うところです。私自身、管理マニュアルを見積もりに入れるべきか、毎回悩みます。そして、これまで見積もりに入れたことはありません。
ただ、作るのに手間がかかることもあります。管理画面のスクリーンショットを撮って、更新方法をコメントで載せる形で作っていたとき、お客様が入力する項目がとても多い案件では、8時間ほどかかったことがありました。
つまり、マニュアルが見積もりに入っているかどうかは、会社によっても、案件によっても違います。自分で更新するつもりなら、最初に聞いてしまうのがいちばんです(更新を自分でするときの考え方)。
質問は、メールでまとめて送る
見積もりへの質問は、電話よりもメールで、まとめて1通で送るのがおすすめです。
- 答えが文字で残る:あとで「言った・言わない」になりにくい
- 相手が調べてから答えられる:電話だとその場の回答になりがち
- 社内で共有しやすい:決裁する人にそのまま転送できる
思いついたときに1つずつ送るより、気になることを全部書き出してから1通にまとめたほうが、やり取りの回数も減ります。
そのまま使えるメール例文
例文1:項目の意味を聞く
件名:お見積もりの内容について確認させてください 〇〇株式会社 〇〇様 お世話になっております。〇〇の〇〇です。 先日はお見積もりをお送りいただき、ありがとうございました。 社内で検討するにあたり、いくつか確認させてください。 1. 「ディレクション費」には、どのような作業が含まれていますか。 2. 「レスポンシブ対応」は、スマートフォンでの表示に対応するという意味で合っていますか。 3. 「公開作業」には、ドメインの設定も含まれていますか。 お手数をおかけしますが、ご回答いただけますと幸いです。 よろしくお願いいたします。
番号を振っておくと、相手も1つずつ答えやすくなります。
例文2:含まれる範囲を確かめる
件名:お見積もりの範囲について 〇〇様 お世話になっております。〇〇の〇〇です。 お見積もりをありがとうございました。 発注前に、作業の範囲について確認させてください。 ・修正は、デザインと実装それぞれで何回まで含まれていますか。 ・原稿(文章)と写真は、こちらで用意する前提でしょうか。 ・公開後、お知らせ欄などを自分たちで更新したいと考えています。 更新方法の説明や手順書は、お見積もりに含まれていますか。 含まれていない場合は、別途の費用の目安も教えていただけると助かります。 よろしくお願いいたします。
「含まれていない場合の目安も」と添えておくと、追加でいくらかかりそうかまで一度に分かります。
例文3:追加料金の考え方を聞く
件名:追加費用の考え方について 〇〇様 お世話になっております。〇〇の〇〇です。 お見積もりの内容、確認いたしました。ありがとうございます。 一点だけ、事前に確認させてください。 制作の途中で、こちらからページの追加や大きな変更をお願いした場合、 費用はどのように決まりますか。 追加になるときは、作業の前にお知らせいただける形でしょうか。 あらかじめ分かっていると、社内でも相談しやすいため、 お手数ですがご教示ください。
追加料金の話は、制作する側にとっても切り出しにくい話題です。私も、見積もった作業量があとから増えたときに追加の費用をお願いしてよいのか、「こんなことを聞いていいのか分からない」と感じることがあります。クライアントとのやり取りの中で、いちばん難しいところです。
だからこそ、依頼する側から先に聞いてもらえると、お互いに話しやすくなります。
質問するときに気をつけたいこと
- 責める書き方にしない:「高すぎませんか」ではなく「何が含まれていますか」と聞く
- 回答の期限を決めつけない:急ぐ場合は「〇日ごろまでに社内で決めたいので」と理由を添える
- 他社の金額をそのまま出さない:比べたいときは、金額より「範囲の違い」を聞く(見積もりの比べ方)
- 答えは保存しておく:発注後に「最初にこう聞いた」と確認できる
契約の内容や、追加料金をめぐって話がこじれてしまった場合は、自分だけで判断せず、契約に詳しい専門家に相談することも考えてください(契約書の基本)。
前提がそろっていないと、金額も比べられない
最後に、見積もりを依頼する前の話を少しだけ。
以前、コーディングだけの依頼で、何の前情報もないまま「1枚どれくらいでできますか?」と聞かれたことがあります。「5万円からになります」とお答えしたところ、「弊社では1〜2万円で行っているので、高いから依頼しない」と言われました。
どちらが正しいという話ではありません。何を、どこまで作るのかという前提がそろっていないと、金額だけが一人歩きしてしまう、ということです。
見積もりへの質問は、この「前提」をそろえる作業でもあります。分からないことを聞いて、範囲をはっきりさせてから発注すれば、あとから驚くことはぐっと減ります(費用の相場と内訳)。
まとめ
- 見積もりの項目名は会社ごとに違う。分からなくて当然
- 質問は値切りではなく「認識合わせ」。遠慮しなくていい
- 修正回数・原稿と写真・手順書・追加料金の考え方は、特に確認しておきたい
- 質問はメールで、番号を振ってまとめて1通で
- 責める書き方にせず、「何が含まれていますか」と聞く
見積もりの見方が分からない、何を聞けばいいか迷う、という段階でも構いません。Sea Soundでは、見積もりの内容もできるだけ分かりやすくお伝えしています。お気軽に無料相談からご連絡ください。