Web制作の依頼では、契約書を交わさないまま進むことが珍しくありません。「知り合いの紹介だから」「金額もそれほど大きくないから」——そうして口約束で始まります。
ほとんどの場合は問題なく終わります。ただ、こじれたときに困るのは、たいてい依頼した側です。何を残しておけばいいのかを整理します。
口約束で、実際に起きること
「言った・言わない」になる
「この修正も含まれると思っていた」「いや、それは範囲外です」——いちばん多いのがこれです。どちらかが嘘をついているわけではなく、最初から認識がずれていただけのことがほとんどです。
支払いの時期でもめる
着手金はいくらか、残りはいつ払うのか。決めていないと、公開前に全額請求されることもあれば、請求がいつまでも来ないこともあります。
サイトを引き継げない
契約終了後に、ドメインやデータを渡してもらえるのか。ここを決めていないと、他社に乗り換えられない状態になりかねません(サイトの権利と名義)。
途中で止まったとき、どうするか分からない
制作者と連絡が取れなくなった、こちらの事情で中止したい——そのとき払ったお金がどうなるのか。決めていなければ、話し合うしかありません。
書面に残しておきたい7つのこと
立派な契約書でなくても構いません。次の項目がどこかに書いてあることが大事です。
- 作業の範囲:何ページ、何を作るのか。含まれないものは何か
- 金額と支払い時期:総額、着手金の有無、支払いのタイミング
- 納期:いつまでに公開するか、遅れた場合どうするか
- 修正の回数:何回まで含まれ、超えたらどうなるか
- 権利の扱い:完成物を自由に使えるか、あとで改変してよいか
- 中止したときの扱い:途中でやめた場合の費用
- 公開後の対応:保守は含まれるか、不具合の対応はどこまでか
1・2・4は、実は見積書に書かれていることが多い項目です(見積もりの比べ方)。追加料金でもめないためにも、ここは最初にはっきりさせておきましょう(追加料金と範囲の決め方)。
堅苦しくしなくていい
「契約書を作りましょう」と言うと身構えられることがありますが、形式は重要ではありません。
小規模な依頼なら、次のような形でも十分に役立ちます。
- 見積書+発注のメール:範囲と金額が書かれた見積書に「この内容でお願いします」と返信する
- 打ち合わせ内容のメール共有:決まったことを箇条書きで送り、相手に確認してもらう
大事なのはあとから見返せる形で残っていることです。口頭で決めたことを、その日のうちにメールで送っておく。これだけでも、認識のずれはかなり防げます。
発注側には、条件を示すことが求められる
フリーランスに仕事を発注する場合、取引の条件を書面やメールなどで示すことを求める法律があります(2024年11月施行)。業務の内容、報酬の額、支払期日などが対象です。
つまり条件を明確にするのは、依頼する側の役割でもあるということです。「細かいことを言うと嫌がられるかも」と遠慮する必要はありません。
(※適用される範囲や細かい要件は取引の形態によって変わります。判断に迷う場合は、専門家や公的な相談窓口で確認するのが確実です)
相手が嫌がったら、それが判断材料
条件を書面で確認したいと伝えたとき、誠実な制作者なら快く応じます。むしろ、自分を守るためにも歓迎するはずです。
逆に、「そこまでしなくても大丈夫ですよ」と曖昧にしたがる場合は、少し慎重になったほうがいいかもしれません。書面を嫌がる理由が、こちらには見えないからです。
「初期費用0円」の月額契約の営業を受けたときの確認点は契約前に確かめたいことにまとめました。
まとめ
Web制作では、契約書がないまま進むことは実際にあります。ただ、範囲・金額・納期・修正回数・権利・中止時・公開後の対応——この7つがどこかに書かれているかは、必ず確認してください。
形式は契約書でなくても、見積書とメールで十分です。確認を求めるのは失礼ではなく、お互いを守るための当たり前の手続きです。
Sea Soundでは、お見積もりの段階で作業の範囲と条件を明記し、書面でご確認いただいてから着手しています。無料相談からお気軽にご質問ください。